BATTLE ROYALE
〜過去から現在(いま)へ〜



 体育館には2−Aのほとんどが集まっていた。
 と、言っても織田進(男子4番)や野中、和はまだだったが・・・。
 織田、野中はともかく和はどうしたんだろう・・・。
 心配する須来は仲の良い立川に声を掛ける。
「耕作、和を知らないか? 」
「和くん? 分かってるよ! 今から行ってくる」
 知っていたらしく、真紘と一緒に出て行った。

「和く〜ん」
 体育館裏に耕作の声が響く。
 体育館近くは日が陰っているせいで真紘は肌寒そうにしていた。

 オレは耕作の声に目の上においていた手をどける。
 途端に陽が目に入ってくる。
「っつ・・・・・。何? 耕作・・・? まだチャイム鳴ってないぞ? 先生に呼ばれたんなら無視!」
と、だらけた回答をするオレにキレたのは耕作じゃ無かった。
「無視! じゃあ無い!」
――ぇ? 真紘・・・?
「ちょ・・・、なんで片月が居るわけ?」
 体を起こしながら聞くオレ。
「何ででも良いの! 体育館にみんな集まってるから、早く来てくれない?」
 やや苛々した声の真紘。
 はあ、しょうがないか・・・。
 オレは階段の下まで身嗜みを整えながら歩く。
「早く!」
 急かす真紘は、階段を下り様としていたが・・・、
「いやぁ、きゃ! 」
 何があったのだろう。
 宙に浮いていた。
 階段から落ちた真紘をマンガとかTVの世界なら下の奴が受け止めるんだろう。
 でも、オレは頭よりも先に体が動く方じゃない・・・。
――お、おい・・・。や、やばくね?
 ちょ、まあしょうがない・・・。
 受け止めんとここは危険だし・・・――、

――ドサッ!

――痛い・・・。
「ごめ、ほんと、いやー・・・、ごめん!!」
 謝る真紘だったがその言葉はオレにはほとんど聞こえていない。
「和くん! 真紘ちゃん!」
 耕作も階段を駆け下りてくる。
――ああ、
 ここでもし、耕作までもが落ちてきたらオレは間違いなく死ぬ・・・。
「・・・っ真紘、頼む、腕、下りて・・・くれ」
 落ちてすぐに真紘はオレの上から退いた。
 が、腕を踏んでいた。
「あっ・・・、ほんとごめん・・・・・」
「和くん、ごめんね・・・」
 二人が謝る。
――耕作・・・・、
 お前が謝るのは違う・・・・・。
 謝る必要は無い・・・!
 そう思うオレだったが、突っ込む元気は無かった。

「何か・・・、用があったんじゃ、無いのか?」
 耕作は思い出したように右手のひらに左手を打つ。
 オレは耕作に肩を貸して貰って体育館に向かった。


「お、和! って、どうしたんだ?」
 片月健(男子6番)が声を掛ける。
 その時、オレはまだ耕作に寄りかかって歩いていた。
「いや、ちょっと・・・、どっかのバカのせいで・・・・ね、あ! うぅ――、」
 足を踏まれた・・・・。
 耕作は宇野小波(女子5番)の元へ向かう。
 オレと真紘は鏡夜たちが座っている体育館の端に向かう。
 が、様子が少し変だった。
 真由は寝ていた。
 不思議がって後ろを向こうとすると真紘が倒れこんでくる。
 その頭越しに見ると、
 矢賀大河(男子22番)が入り口のドアを開けようとしていた。
 真山鷹史(男子19番)も体育館の足元にある小窓を開けようとする。
 しかし、開かないようだ。
 なぜ? と、思うもののオレの瞼は重くなってくる。
 一体何があったのだろうか。
 膝を付き倒れこむ俺と真紘。
 視界がぼやけて来る。
「真・・・紘・・・・・」

 和が意識を失うとそれに続くように矢賀、真山も倒れた。
 舞台裏で見届けていた加勢がトランシーバーに向かって喋ると、入り口から胸にピンクの印を付けた政府の兵士たちが入ってきた。
 作業中の静かな体育館には昼休憩終了を告げるチャイムが鳴り響いた。


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