ほーちけんだより(Miscellaneous)


6    誤った知識
2013-09-19 
昔々(1984)スペイン北西部の町オヴィエドに行ったことがある。環境放射線の講義をしに行ったのだが、そのとき英語-スペイン語の通訳をしてあげるという他の研究室の女が現れた。私程度の英語ならスペイン人にも分かるはずだが、彼女があまりにも強引だったのでOKした。その後もいろいろ世話を焼いてくれた。田舎町ではよっぽど日本人が珍しかったのだろう。名前はマルガリータだという。意味を聞くとFlowerだと教えてくれた。マルガリータとはスペイン語で花という意味なのだな、と頭にインプットした。
 時が経って、停年直前(2003)コスタリカの環境放射線マップ作りのために測定に行った。あちら側の協力者はパトリシアという女性の教授だった。世間話をしてるとき「マルガリータというのはスペイン語で花という意味だよね?」と聞いたら「イエス、バット花は花だけどマーガレットという花よ、Margarita=Flowerではないの」と教えてくれた。結局20年近く間違った知識を持っていたことになる。
 専門関係でもこんな感じで間違ったまま覚えている知識がいっぱいあるんだろうな。

7    先入観
2013-09-03 
「先入観を捨てなさい」と著名人、進歩的文化人、、宗教人などがよく口にする。しかし先入観を捨てたら予測して行動するということができない。たとえば観測に行くときは先入観をもって行かないと仕事にならない。観測に行く前に「今度の結果はこうなるだろうな、教科書にも載ってたし、あの有名な大学の先生も言ってたし、それに何よりも自分の屁理屈で考えてもこうなるはずだし...」と当たりをつけて出かけないと話にならない。先入観を持っているということはこれから観測に行く対象のモデルを持っているということだ。先入観を持たずに漫然と観測に行くと、データを集めて眺めても何の感想も浮かばない。自分の立てたモデルと違った結果になって初めて強烈な印象を受け、モデルの改定作業が始まるのだ。測定方法がまずかったのかな?モデルがトチ狂ってたのだろーか?もしかしたら定説がおかしいんじゃねーの?とか、とにかくそこから始まるのだ。予想と違うのは何でだろ?と徹底して考えまくるほどに現象の理解が深まっていく。これが先入観の効能なのだ。先入観と違った結果になったら「しめた!」と思わなければならない。そして検討・考察・吟味を深めることが肝心なのだ、と思う。
 私は何もツムジ曲がりなことを言ってるわけではない。たとえば石灰岩地帯や玄武岩地帯を測るとしよう。放射線の知識が無い人が無心で測って50nGy/hという値を得たとする。「ほう、石灰岩(玄武岩)の線量率はこのくらいなのか。」で終わってしまう。もしこの人に多少の放射線の知識があったとしても、「A教授が書いた本に石灰岩(玄武岩)は低いと書いてあった。あの有名なA教授がいいかげんなことを言うわけがないし、オレの測定器がオカシイのかな?」で終わってしまったらいけない。たとえノーベル賞を貰ったような大家が言っても鵜呑みにしてはいけない。
 環境放射線の知識が豊富な人なら「え!なんで!?」という感想を持つだろう。「石灰岩(玄武岩)は線量が低い」という先入観があるからだ。「測定器を変えてもう一度測ってみようかな」、とか「石灰岩(玄武岩)地帯でも線量の高い土が混入してるのかも?」、とか「待てよ、教科書にはああ書いてあったが、石灰岩(玄武岩)といっても低いのから高いのまでいろいろあるんではなかろーか?」、「違う石灰岩(玄武岩)地帯とか鍾乳洞(玄武岩洞窟)の中で測ってみるか」、とか考える。
 先入観は必ず持たなければいけないが、とらわれてはいけない、という一席。

8    プリンター
2013-08-18 
とうとうイカレた。17年も使ってたから無理もない。左上の写真が左下のように印刷される。ソフトをいろいろイジってみたがどうしても元に戻らない。しばらく白黒だけで印刷してたのだが、数日したらまったく印字しなくなった。しかたがないから新しいのを買った。古いのは購入時、数万円したと思うが、新しいのは7000円台だ。デフレを実感する。
 試し打ちの結果は満足なものであった。だが、プリンターのソフトをインストールしたらスキャナーが動かなくなった。同じエプソンのものなのでソフト的に不具合が生じたのだろうか?スキャナーのソフトを再インストールした。まだ続く。Adobe Readerにも不具合が生じた。これも再ダウンロードする。パソコンに弱いものにとってはトラブルが発生すると復旧にとてつもない時間がかかる。もう少しバカチョンにして欲しいのだが。原理も分からず、暗闇で100円玉探すようなことばかりで、とにかくパソコンは疲れる。

9    富士山
2013-08-03 
若い頃、「富士山は exponential な曲線になっている。なぜならば自然は何でも exponential で、富士山も自然だからなのだ」とワケのワカラナイことをある先輩に言われたことがある。ふとそれを思い出したので確かめることにした。なぜ急に思い出したのか分からない。富士山が世界遺産に登録されたというニュースが原因かもしれない。
 それにしても情けないことだ、無意味な格付け機関から権威付けされて喜んでいるとは。子供ならイザ知らず、オトナの国なら世界が認定しようがしまいが、自分のモノサシで判断すべきだろう。世界一見栄えのよい富士山は、たとえ頼まれても申請などすべきではない。こんなことではタクアンの美味さも世界のグルメ機関に三ツ星を付けられないと無感動で口に運んでるということか?
 おっと、つい横道にそれてしまった。exponential に戻ろう。写真の富士山の寸法をそのまま読み取って、エクセルでフィットさせると確かに exponential になっている。写真は海面高度で表現されていないので、そこは調整したが。自然のものはベキ乗則が多ことを知ってたので、exponential が合わなければベキ乗でフィット、と考えていたのだが、その必要はなさそうだ。理論地形学の本で調べれば、摩擦とかの関係で式が導けるのかもしれないが、何かメンドーでツキツメル気が起きない。

10    透明な羽のセミ
2013-07-31 
朝起きて台所に行ったら網戸に透明なセミが止っていた。羽が完全に透明で、なかなか印象的であった。成虫のセミでも羽は透明だが、少なくとも葉脈に相当するスジや斑点は薄茶色のはずだ。羽化したばかりのセミはこういうふうなのだろうか?それとも突然変異種なのか?写真のピントが甘かったのが悔やまれる。


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