ゲンジボタル
1. ゲンジボタルの生態
愛知県内のゲンジボタルは、5月末から6月頃に成虫になり、日が沈んで1時間ほどたってから発光をはじめます。よ
く光って元気よく飛びまわる時間帯は、午後9時頃と午前2時頃です。成虫になると草のつゆをのむだけで何も食べませ
ん。ですから、成虫の寿命は長くても2〜3週間ぐらいといわれています。おすは、めすをさがして約2秒に一回の間隔で
光りながら飛びまわります。めすはおすに知らせるために光りますが、飛びまわったりせずに、樹木の葉などの上でじ
っとしています。おすとであって卵をうむ準備のできためすは、川の上流に向かって飛びます。適当な川岸のこけを見
つけるとその上に0.5mmほどの大きさの卵を500個から1000個うみつけます。卵は、約1ヵ月後にかえり、1.5mmほどの
幼虫がうまれます。うまれた幼虫はすぐに水の中に入ります。昼間の幼虫は石の下や砂の中にかくれてじっとしていま
すが、夜になるとはい出してきて川の中を歩きまわり、カワニナなどの巻貝のなかまを食べて約9ヵ月間生活します。5
〜6回脱皮して、十分に成長した幼虫は、愛知県内では、桜の花の咲いている頃の雨の降る夜に、水の中からはい上
がって、水辺の柔らかい土の中にもぐり込んでサナギになります。それから45〜50日間、土の中ですごしたホタルは、
もう一度脱皮して成虫となります。しばらくして体が十分に硬くなると、雨が降ったりして土が柔らかくなった夜に、土の
中からはい出して飛びはじめます。
2. ゲンジボタルのすむ環境
ゲンジボタルが一生をすごし、次の世代に生命を受けわたすためには、少なくとも次の7つの条件がないといけませ
ん。
【水 質 】 水の中で幼虫がすむためには、水温が高くなりすぎないこと、酸素がたくさん溶け込んだきれいな水
が流れていることが必要です。
【河床形態】 幼虫のすむ河床には石や砂が必要です。
【え さ】 幼虫が成長するためには、えさとなるカワニナがたくさんすんでいる必要 があります。
【上陸条件】 成長した幼虫が上陸するためには、雨と季節の変化(水温の上昇と昼間が長くなる変化) が必要で
すし、幼虫がさなぎになれる土がなければなりません。
【成虫のかくれ場】 親のホタルが昼間にはねをやすめる、つまりかくれ場になる草や樹木が必要です。
【暗い空間】 ホタルは夜に活動する昆虫で、親ホタルの発光は光の会話(コミュニケーション)ですから、ホタルが
飛びまわれるだけの広さをもった暗い空間が必要です。
【産卵場所】 親ボタルが卵をうむためには、水ごけがはえていることが必要です。